お金くれるパパ

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別に僕は、援助交際もパパ活もする気はなかった。ただ、出会い系サイトでガールフレンドを探していただけだった。
その頃の僕は女性と付き合ったことはおろか、デートさえしたことない童貞だった。そんな野郎が出会い系サイトの存在を知ったのだ。カレシや友達募集の書き込みがわんさかある掲示板を見て、僕の心は高鳴った。
その中に「一緒に食事してくれる人はいませんか。一人じゃ寂しいので」なんて、20歳の看護学校生の書き込みがあって、地域も僕の行動範囲と一致していた。
僕はさっそく申し込んでみた。とりあえず、食事などをして、フィーリングが合えば次に期待が持てるし、合わなければ一回こっきりにしておけばいい。
そして、彼女から返事が来て実際に会うことになったんだ。これまでも何人かにアタックはしていたが、実際に相手と会うに至ったのは初めてでさすがに緊張した。
待ち合わせ場所にやってきた彼女は、白のトップスにレーススカートで、ショートボブが滑らかな首筋を強調させている清楚そうな女の子だった。
むちゃくちゃタイプ!というわけではなかったが、お世辞にもイケメンとは言えない僕を確認しても、動揺するどころが目を細めて口元を緩ませてくれる彼女を見て、これはヒロイモノかも、と思ったものだ。
僕は不慣れながらも、彼女を近くの料理屋に誘って、一緒に食事をした。僕の仕事の事とか、彼女の学校の事とかの話をした。
彼女は、看護学校の学費の半分は自分で出しているそうで生活は苦しいと言っていた。
「お金くれるパパでもいてくれたらいいんだけどね」
彼女はそんなことを言っていた。僕は、お金くれるパパにはなれないけど、このまま友達として楽しく喋りながら食事をおごるくらいはいいかな、なんて思っていた。
食事代は僕が支払い、喫茶店でコーヒーを飲んだ後に今日はこのまま別れることにした。
しかし、彼女はなかなか席を立たなかった。すでに話の種は尽きていたが彼女は何かを言いたそうだった。
僕がどうしたの?と聞くと、ようやく彼女は重い口を開いた。
「いくらくらい謝礼いただけますか?」
どうやら、彼女は僕をお金をくれるパパかどうか見極めていたらしい。清い出会いだと思っていたのだが、彼女にとっては単なるデート援だったという落ちだった。
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