援交アプリ

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高校生の正大くんは僕の兄夫婦の息子で甥っ子にあたる。幼少の頃から僕にはよく懐いていて、今でもよく僕の家に遊びに来る。
僕自身は、未だに独身であり、援交アプリで女の子をひっかけては、まあ上手くいったり、時にはぼったくられたりしながら過ごしているろくでなしではあるわけだけど、こんな僕にシンパシーを感じてもらっては正大くんの行く末が不安にはなる。立派に家庭を持って世帯を築いている兄の方こそ見習ってほしいなあ、と思っていたのだが・・・
「最近、二人揃うことがないんだよ」と、衝撃の告白が飛び出した。
詳しく話を聞くと、兄はほとんど家には帰ってこず、たまに帰ってきても、今度は奥さんの方が出て行ったままになるらしい。正大くんを通じてしか兄夫婦とは付き合いがないが、それでも血を分けた兄弟ではあるので気にはなるところである。
「父さんさ、援交アプリやってんだよ」
正大くんの告白に僕は茶を吹きそうになった。なんでも、甘いパスワードで守られた父親のスマホを覗き見た母親が援交アプリに気づいて、ひと悶着あったらしい。奥さんの調べでは兄は既に何人かの女性と援交していたそうだ。それ以来、夫婦仲が険悪になって今に至るらしい。
まあ、20年近くも夫婦やっていれば、浮気の一つもしたくはなるだろう。しかし、それが僕と同じ援交アプリとは質が悪い。兄がどうやって援交アプリにたどり着いたかは知らないが、兄弟の血がこんなところでつながってるのも皮肉なものである。
ただ、正大くん自身はケロッとしていた。
「ま、子は鎹って言うけど、あの二人も俺が成人するまでの仲だと思うよ」
スレていると言うか、現実を受け止めていると言うか、正大くんは兄と奥さんのどっちに似たのだろう?と思っていたが
「ところでさ、おじさん、一晩だけ部屋を貸してくれない?ほら、俺学生だからお金なくてホテルなんて無理だしさ、家に連れ込むわけにもいかないじゃん?」
学生向けマッチングアプリでひっかけた女の子と寝る場所を探しているのだそうだ。正大くんは明らかに僕ら兄弟の血を引いているに違いない。
割り切りの出会い
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