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「困った時に助けてくれる人とはどんな人でしょう?」
僕と榊原さんはベッドの中で大喜利みたいなことをやっていた。
榊原さんとは出会い系サイトで知り合った。僕と同世代のバツイチ女性だ。
そして、僕もバツイチである。離婚原因は僕の浮気だ。職場の女性と不倫関係になって、奥さんから三下り半を突き付けられた。奥さんの怒りは相当でまだ子供がいなかったことも幸いしてあっさりと離婚となった。
だが、悲しいことに僕が離婚して身軽になったと同時に、その職場の女性は別の男とできちゃった婚をしたのだからたまらない。
しばらく僕は人間不信に陥ったものだ。
そんな話をすると、「あー、私も一緒一緒!」と榊原さんは喜んでくれた。
榊原さんはバイト先の店長と不倫関係だった。それが旦那にばれて別れ話になったそうだ。しかし、その店長は最終的に奥さんに謝って家庭を守ったらしい。旦那は失うし、バイト先はクビになるしで散々な目に遭った。正直、僕よりも憐れな状況だ。
そして「お互い気楽に遊ぶのがいいよねー」と僕たちは、友達以上恋人未満の付き合いを始めたのだ。榊原さんも旧姓に戻って今の自由な自分を存分に楽しんでいるらしい。
「何も言わず、すっと懐から帯封を出してくれる人」「最終レースで確実に来る馬を教えてくれる予想屋」「利子は君の笑顔で十分だよと言ってくれる街金」「こぼれをギリギリまで注いでくれる女将さん」
・・・結局、困った時に助けてくれる人って、お金くれる人かよ!と僕たちは笑った。
でも、僕たちは知っている。その本当の答えを。
僕たちは、どちらからともなく手を伸ばすと、深く深く交わった。
ともに恋愛に失敗して深い傷を負った。自業自得だと周りから言われて、親にも合わせる顔がない立場である。
僕も榊原さんも笑いで表情は隠しているが、本当はまだ傷は癒えていないのだ。
「困った時に助けてくれる人って、まず、困っていることを分かってくれる人が大前提よね」
榊原さんが僕の肌に唇を重ねてきた。僕たちは、お互いの心をお互いの唇で助け合っているのである。
割り切りの意味
ワリキリ