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鬼嫁なんですよ。僕の方が惚れて結婚したわけだし、僕のストーカー紛いのしつこい口説きに彼女がようやく折れて結婚してくれた、という弱みもあって、奥さんにしてみれば「結婚してやった」という感覚なのでしょうね。結婚して一緒に暮らすようになると、そう言う本性が徐々に出てきたんです。
僕なんて既に「月給お届け人」なんですよ。会話もほとんどないし、奥さんにとって僕なんてお金を稼いできてくれる人。鬼嫁なんて書きましたが、嫁にすらなっていない感じです。セックスについても僕から求めても100%応じてくれません。奥さんがやりたい時だけ、僕のチンコが利用されるという感じです。僕との遺伝子を残したくないのか、避妊は徹底して行われてしまっています。
正直なところ、結婚は失敗だったと思っていました。ただ、一度彼女を伴侶と決めた以上、彼女から言われない限りは離婚だけはしたくなかったのです。そんな時に、地方への赴任話が出てきました。これは幸いだと思いましたね。単身赴任をすることで距離を取ってお互いの関係を見つめ直すには絶好の機会でしょう。僕の単身赴任については奥さんもあっさりと受け入れてくれました。彼女にとって大切なのは、僕より僕のお金なんだから僕の不在なんてどうでもいいのでしょうね。
ところが、赴任してしばらく経つと、彼女の方が電話をかけてくるようになったのです。「声を聴きたくなっちゃって」と、顔を合わせている時は会話らしい会話もなかったのに、彼女からテレフォンセックスをねだってくるようになりました。
こうして、赴任中は毎晩のようにテレフォンセックスをしていました。意識もなく吸っていた空気が周りから無くなって、初めて酸素のありがたさを知る、と言った感じだったのでしょうか。電話口の向こうで喘ぐ彼女の息遣いに、僕はそんなことを考えました。離れてみてようやく僕の存在を知ってくれたようでしたね。
まあもっとも、赴任が終わり、再び彼女を暮らすようになったら、また元の生活に戻ってしまいましたけどね。たまには失踪してテレフォンセックス相手として奥さんと付き合うべきなのかもしれません。
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